くすんでないくすんでないくすんでないぞ/真島正人
 
が、
思いつかない



耳にほんの少しだけ
水が入ってしまった
週末の室内プール
それなりに締まった腹筋に満足をし
耳に入り込んだ水のことを忘れた
水滴が
私の耳の中に脈打っている
水滴が
少しづつ
私の皮膚を
ときほぐしていく
肉の
一層
二層
三層……

そこから先は……

どこかから

沈黙が飛んできて
私たち
数人の頭を
殴った

すると私たちは
唐突に饒舌になり
言葉の胚芽と
対立項を作り出し
「沈黙させられるために必要なこと」
を語ろうと
口が
ゆがんでくる

痛い
痛い
痛い

どうすればいいの
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