ドーナッツ/ホロウ・シカエルボク
 
の場で構成された様々なプロセスがすべて駄目になった
獣が唸るような声に振り返ると
きれいに着飾った女が銀杏の根本にゲロを吐いていた
その女に時間を尋ねようと思った
そうすれば彼女は自分がいまやっていることがどれだけ恥ずかしいことかということに気づくかもしれないから


書店によってスティーブン・キングの小説を立ち読みした
立ち読みしたときにこれほど買いたくなる作家を他に知らない
そのくせいざ買った後ではまるで読もうという気にならないのだ
もちろんそれが彼のせいである訳はないが
近頃じゃ立ち読みするたびになにか軽い怒りすら覚えてしまう


部屋の窓枠にはまだ
去年の落ち
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