ドーナッツ/ホロウ・シカエルボク
嘲笑うみたいにバッタが短く飛んだ
ショッピング・モールの片隅のあばた面の娘が揚げたドーナッツは全然好みじゃなくって
ぐちゃぐちゃと砕きながら祈りの言葉を捧げた
コーヒーで流し込んでしかめっ面をすると
娘がほんの少しだけこちらを見ながら悲しい顔を浮かべているのが見えた
だけどそんなことどうしようもないことだ
料金を払って店を出ると
駐車場で三台の車が玉突き事故を起こしていた
広い公園の楠の下のベンチにだらりと身体を任せて
風にそよぐ木々の葉の音をずっと聞いていた
近所のハイスクールのバスケット・ボールのクラブの一団が汚い声で叫びながらそばを通り過ぎて
その場
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