テーブル農園のトマトに花が咲く。それから/なき
 
は辛抱強く待たねばならず、一ヶ月ほど溜まったきいちゃんの話を良司が満足するまで聞き流さねばならず、最後の最後に一生懸命自分を励まして部屋に行ってもいいかどうかを尋ねなければならない。すげなく断られることもあるし、機嫌よく了承してくれることも、不承不承、ということもある。それも私たちのルールだ。付き合ってから一年が経つけれど、たったそれだけのことに緊張している自分もいる。別れちゃえばいいのに、っていうか遊ばれてるんじゃないの、と二十一歳の妹の朱実は言う。――沙代子ちゃんはさ、もうちょっと自信持ったほうがいいって。顔だって可愛いんだしモテないわけじゃないんだからさ。男なんていくらでもいるじゃん。どうし
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