テーブル農園のトマトに花が咲く。それから/なき
 
うして良司くんにこだわるわけ?
 「なあ、やっぱりもう少し鉢植えデカくした方がいいよな」
電話の向こうで良司が発した言葉が突然耳に飛び込んできて、私はすかさず相槌を打つ。
「そうね。またこの前のホームセンターに行く?それなら、私も行こうかな」
良司はちょっと黙った後、困ったような声を出した。
「なんで」
「コルクボードが欲しいの。いろんなものを留めておく」
良司が何か言う前に、おなかに力を込める。
「それに、せっかくだからお花をつけたきいちゃんにも会いたいわ」
一体いつからなんだろう。安堵のような興ざめのような脱力感が体から離れなくなったのは。心臓だけがどくどく動く。

戻る   Point(1)