島野律子小感/葉leaf
 
するためにはこのような停滞が必要なのである。


7.物質との距離としての詩

 島野は物質に対して様々な距離をとることで、物質と戯れている。物質の本質や質感をとらえようなどといった無駄な気負いはなく、むしろ先述したように物質を透明化することで、逆に物質の持つ静寂と神秘を照らし出すことに成功している。もはや我々にとって物質は、自由に透過することができ、自由に動かすことができる遊具のようなものである。

q7 体が出来ないことを、しつづける、楽しみ。(「春になる」より)

 ここに一方の極がある。島野はここで純粋に精神となっていて、物質を未明の淵へと限りなく深く沈めている。つまり物
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