島野律子小感/葉leaf
 
」を単独で統一的な流れ(本流)へと送り込んでいるのではない。「朝」を摂り込んだ流れはしばし停滞し(より繊細な表現をするためにそれだけで詩行とすることが留保されるのだ)、今度は「朝」の属していた領域に隣接する領域から「木の枝」が摂り込まれる。そして、「木の枝」を摂り込んだ流れが停滞している隙に、今度は「振返る」「増えていく」が摂り込まれる。その摂取が終わると、ようやく一時的に停滞していた流れも再び動き始め、本流において「振返る木の枝が増えていく朝に」という結合が生じる。島野の詩人としての血流は決して等速のものではなく、適切な材料を得て適切な結合を得るために適度に停滞しながら流れている。生活を異化する
[次のページ]
戻る   Point(5)