密度に欠けるプール/ホロウ・シカエルボク
、ただ春だからというわけではなく
この雨上がりのなかにいると
ふと思い出すメロディーみたいにそんな感じがした
色塗りの薄すぎた絵みたいな世界
濡れた路の上に立って
過ぎてゆくものとやってくるものを見ていた、見るともなく
いつも流れてる音楽を聴いてるときみたいな感じで
確かさはささやかなもの
ながいシグナルがようやく青になって
ぼくはたしかなささやかさをもって横断歩道を南から北へ
密度に欠けるプールのなかを歩いているみたいだ、ほんの少し太陽が顔を出した
ぼくが厭世的な詩人なら
妙にしゃちほこばったポエムのひとつでも読みたくなるだろうそんなタイミングで
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