さようならの宴/オイタル
 
レストランの扉をあけてこんにちは
それから背伸びするぼくらの周りで
絵のように時間は流れていった
高い窓を 雲の尾を引いて
空がうす青く光りながら流れていった

テーブルの上に焦げのついたラム肉が並び
ぼくらはフォークを握ったまま笑った
おかしくって
彼は細切りの 炒めた黄色いピーマンをつつき
ふきのとうのフライを裏返し
また少し笑って 終わりのない話をした

彼女はひざの上で 両の手を組み替え
「約束が違う」と言い それから
少し笑ってみせ 少し怒ってみせた
それはとてもよかった
さもあらぬ思わせぶりのようで

仕方あるまい
ぼくは文字が見えないことについ
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