肉体の定義/葉leaf
 
だかまりや分岐点や廃物置き場、それが肉体だ。肉体の痕跡が、肉体の落とした機能が、肉体の闇夜が、その道に散り敷かれている。通学する小学生の、未来を操作することも知らない制服の下の裸体。帰省する自動車を運転する会社員の、死の予期を啜り続けている下腹の出た体躯。買い物に出かける浪人生の、変形を繰り返した希望によって日々更新される肉体。

 論理的に絶望した。じっくりと満ちてくる疲労があったわけでもなく、人生を重々しく吸引し続けた夢が砕けたわけでもなく、生活の端々までを整頓していた愛を失ったわけでもなかった。結晶と結晶とが衝突し、互いに砕けて無数の争い合う小結晶を生むように、論理と論理が互いを映し出す
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