あどけのない空洞/真島正人
 
やってくるカタルシス

肩から担いでいた
ずた袋に

母の日記を入れ
時代遅れの鉄道に乗り込む

あの穴まで

一駅

さらに先の穴まで

七駅

液体状の
幸せが

染み出してくる場所までは

十七駅も

かかる

あぁ

船で行ったほうが

良かったかもしれない



情けない

情けないなぁと

母親が

按摩師の男に語りかける

僕の頭の中で
繰り返し
さげすまれているのは

むしろ

あなたの言葉だ

あなたは

生んだことを後悔した

あなたは

生まれてしまったものを

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