あどけのない空洞/真島正人
 
自由の
維持費なんぞは

払う気もない

8ヶ月経てば
何かが見えると

自己完結の文体で

つづられた楽譜

弾いてみたら
それは

ソナタの形式。

硬い音がする

柔らかい音もする

動く部分がある

動かない部分もある。

疑心暗鬼が
音になって

漂流する気持ち、

わかるか?



遠くに空いた穴を

ぼんやりと
見つめていたら

樹が生えてきた

がんじがらめ
触手のような根っこが

土くれと闘っている

口笛を吹いて
抵抗すると

夜から

野良犬の匂いが消えた

ふいにやっ
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