あどけのない空洞/真島正人
自由の
維持費なんぞは
払う気もない
8ヶ月経てば
何かが見えると
自己完結の文体で
つづられた楽譜
弾いてみたら
それは
ソナタの形式。
硬い音がする
柔らかい音もする
動く部分がある
動かない部分もある。
疑心暗鬼が
音になって
漂流する気持ち、
わかるか?
3
遠くに空いた穴を
ぼんやりと
見つめていたら
樹が生えてきた
がんじがらめ
触手のような根っこが
土くれと闘っている
口笛を吹いて
抵抗すると
夜から
野良犬の匂いが消えた
ふいにやっ
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