悪名 / ****'04/小野 一縷
 
する 何千回と 
血塗れの咽頭が そんな真似を 繰り返す
この刑の執行人は おかしい 気が違っている 
何時だってハゲオヤジをオカズに自慰しているくせに

護謨の刺々しい味に似た聴覚信号が揺れる
勃起する遮断機の棒の縞々のような揺れだ

何処か遠い 何処かへ行きたい 列車がぼくの
股間を踏み躙る 尿道をじっとり痺れながら
一筋に燃える欲望が妄想の中に木霊する方言特有の性的嘶きを伝う

耳朶の中にわざと銀の粒を埋め込んだお陰で
年中錫色の耳鳴りがする傷口からいつも水が出ている
その黄ばんだ液体の香りは不潔な女性器の臭いと全く同じ
脳髄がくすぐったくなる異臭は可笑しな吐気
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