受精/ホロウ・シカエルボク
疑問符を投げかける
あなたを忘れているみたいに
わたしは
わたしのことを忘れているのかもしれない
だとしたら
誰にも
そのことをそうと確かめることは出来ない
過去の中にしか存在しない建物のように
感覚はあるけれど輪郭はどこにもない
わたしは男だろうか
それとも女であるだろうか
賢人だろうか
それとも愚者だろうか
仮面をかぶることが必要だろうか
本来なら
わたしはそう考えて眉間にしわを寄せるべきなのかもしれない
だけど
おそらくはそんなものは必要がない、わたしには
おそらくそんなものはもう必要なものではない
釈然としないので
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