受精/ホロウ・シカエルボク
 
のであるなら
「わたし」とだけ
ことわればよいのだから
あなたはわたしと同じような顔をしてわたしのことを見ている
あなたの中にもわたしのようなことが起こっているのだろうか
わたしはそのことをあなたに尋ねてみたいと思うのだけれど
だけどそれにはやっぱりなんらかの記号が必要とされてしまうのだ
わたしは口を開いた
それは語ろうとも思わぬ時に開いた
そしてわたしはひとことふたこと
あまり耳に馴染みのない言葉を吐いた
あなたは頷いてわたしの手を取った
それからわたしたちはもう一度始まったのだった






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