夥しい静寂の / ****'02/小野 一縷
 
の瑞々しく 濡れた骨を 繋ぎ止める 
神経の繊毛の 眩い 輝きに 
震える脅えが 具象化される
知覚と衝動 その 受胎が
濡らしてしまった 床に 
欲望を搾る 生々しい執着は 
純潔な 混迷の中から 掬い上げた 紛れもない
無垢だ


周回している
何が? 


甲高い 汽笛が 鋭利に 周回している
染みてくる 耳から 口に 舌に 顎に 血の温度
温かい 痛みの無い 苦しみを過ぎて
何かが 遠くに 粉々に 砕けて 散った
こころを 掻き分けて
それを 探しに行った
方向の無い 空白の中に
過ぎゆく足音の 置いていかれた 最後の その一つを 聞いたなら

[次のページ]
戻る   Point(3)