冷たい血が俺を生かしている/ホロウ・シカエルボク
墓地まで乗せて行ってくれよ
親族の死体を掘り返して未来と名付けたいんだ
ドライバーは一言も言わずに鼻を鳴らすと
一度閉めたドアをまた大きく開いた
夜に向かって
この街の真夜中に向かって
そいつはこの上なく獰猛で
このうえなく強い顎の中に
鉄をも貫きそうな頑丈な牙を備えている
だけど死体だ、死体だ、死体だ、死体なんだぜ
部屋に戻った俺は壁に日記を書く
十数年前に見たモノクロ映画の物真似さ
いつぐらいから
日付のあとにエンプティって書き添えるだけで
読み返しても面白くもなんともないけれど
思うに日記なんて自己催眠みたいなものだ
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