記念碑/悠詩
も語らない
語るのは墓石を見た人間である
わたしは己を声高に叫んでいる
誰もいないのに無様な姿をさらしている
墓石に
救急車かつオムライスである
と刻まれている
墓の下に救急車かつオムライスが眠っている
その事実があるだけで
墓石は幸福である
しかしその事実が己にべったりと張りつくと
もういけない
己はその事実を説明せねばならない
速く走るオムライスなのか
美味しい救急車なのか
あるいは救急車のカツレツのオムライスなのか
いや次の瞬間にはそれは
高級車かつソクラテスになるのかもしれない
普通の世界にいるあなたには
救急車かつオムライスというモノを表す
便
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