記念碑/悠詩
 
になってしまう
ならば眼球に刻まれた古傷は
日に日に新しい傷に変貌するのだろうか
生まれた傷と蘇った傷とが
互いの居場所を確かめ合いながらうねる
傷はうねればうねるほど人目を引く
傷はそのことを本能的に知っている

大きな傷を抱えた眼球は
きっと傷の胎児を包んでいたにちがいない
それが生まれ出た途端に周りに阿っていたのならば
眼球の子は性悪説をとるべきである
生まれたての傷は揺り籠へと移され
そのまま墓場まで連れて行かれる
墓場まではタイトロープを渡っても辿りつけるが
そちらを選ぶのは馬鹿げている
棺桶に這入るために人前で笑われ
下に落ちる危険を伴うようなことをす
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