記念碑/悠詩
 
から生まれてきたと叫ぶ
そこに性善説あるいは性悪説の絡む余地はない
自然と己の排中律を採るのならば
ひょいと伸ばした手の先にある
山の裏側に根雪を認めた途端に
雪は自然であり己であることを突きつけられる
そこに生じたスイッチで
雪が溶けだすのか
わたしの手が溶けだすのか
それは同じことであり
判別することは叶わない

わたしはこの世界に騙されているのかもしれない
あなたの皮を剥がすとそこから
腕が四本足が六本
へその下に目と口のある
世にも美しい生き物が姿を現し
わたしは二本しかない自分の腕を
醜く思い恥じ蔑むのだろう
それが怖くてあなたの皮を剥ぐことが

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