パラジクロロベンゼン/たもつ
 
になる
さて、という浪岡修平の一言で議事が始まる
出席者は会長及び事務局長を含め七人
ナオミキャ・ンベルは学習机で一人
流れるように議事は進行する
畳の上に座る七人の真ん中には防虫剤がひとつ
会が始まってから五分遅れて会員の中村が到着する
それから数分後、定期券を忘れたと言って
中村は再び離席し公民館を出て行く

ナオミキャ・ンベルが窓を開ける
風の匂いを嗅ぐとやはり間違いなく
明日からきっちりと春である
近所の犬が吠える
何にでも吠える犬である
定期券を取りに走る中村の姿が見えるが
ナオミキャ・ンベルにはそれが誰であるか知る由もない
学習机の上では
パラジとク
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