パラジクロロベンゼン/たもつ
とクロロとベンゼンが
一様に春を待って
春の話をしたがっている
集会場では浪岡修平の流れるような進行で議事も終盤である
次回の会合の日にちの取り決めを行い
結局間に合わなかった中村には
後日事務局長の田中が連絡することとなる
次回の主な議題は予算と決算です
田中が確認をする
もうそろそろ春ですかね、と浪岡修平が呟くと
会員が一様に頷く
ンベルはとどのつまり
明日からきっちりと春である
中村が転ぶ
上着のポケットの中で防虫剤の割れる音がする
それでも立ち上がり
会に間に合うことを信じて走り続ける
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