生きて在り続けること ミシェル・ウエルベック 拙訳/banjo
 
を語っている。マルクも父と同じように苦しんでいる。父と同じように恐れている。マルクは父親を愛しているのだ。そして彼がある欲望を抱きはじめるとき、父親は死ぬ。彼が自身の罪を感じ出す。

マルクは働かざるを得ないだろう。彼は自身の胸中に、あまりに個的、あまりに豊かな苦しみを育むほかないだろう。『聖なる罪悪感』を


ミシェルは十四歳、女の子は誰一人彼を抱きしめちゃくれなかった。シルヴィとダンスしたかったけれど、彼女はパトリスと踊っている。そしてどう見ても彼女はそれを楽しんでいる。ミシェルは動けない。音楽が彼の奥底まで貫いている。素晴らしい曲だ。この世のものとは思えない美しさだ。こんなに苦
[次のページ]
戻る   Point(2)