going to the moon/チアーヌ
でした。
「ああ、外の空気は久しぶりだわ。それに、なんてきれいな月」
姫君は気持ち良さそうに空を見上げながら伸びをしました。
「ほんとうに良い月だね。まんまるだ」
「わたし、外に出る夜はいつもこんな月が出ているわ。この月があったから、あなたのことも見えたのかしら」
姫君は独り言のようにつぶやきました。
「本当に、いいの?あなたはこのお屋敷のお姫様でしょう?」
男の子はちょっと済まなそうに言いました。けれど、口調はうきうきとうれしそうです。そして姫君も負けじとうきうきしているのでした。
「大丈夫よ一晩くらいなら。それにわたしの体はあの暗い部屋でぐっすり眠っているのだもの。何しろ
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