going to the moon/チアーヌ
しろ普段は、お庭を見たくても、端近に出るのさえもダメだって女房たちに叱られるのよ。そんなわけだから、こうやってたまに、外に出るのはわたしにとって大事な息抜きなのよ。だから、あなたみたいな可愛い物怪は大好き。わたしね、良くできる陰陽師は、みんな難癖をつけて出入り禁止にしちゃうの。だから今、邸にいるのは、どちらかといえばいまいちなやつらばかり」
「そうか、だからあなたの家は入りやすかったんだ。いつもはね、ああいう立派なお屋敷は入りにくいんだ。隙間が無くってさ。ところで、あなたの父君はどういう方なの?」
「右大臣よ。そして、わたしは四の姫。これでも美しくてかしこいって都じゃ評判....らしいけど、そ
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)