going to the moon/チアーヌ
 
、それはお父様が流してるデマだわね。そして嘘っぱちの噂が効を奏して、わたしは来月、主上のところへ入内するのよ」
「別にデマじゃないと思うよ。あなたはとてもきれいだもの。そうか、ふうん、あなたは入内するのか」
 男の子はちょっとまぶしいものを見るような目でお姫様を眺めました。
「それじゃあ、あなたは女御さまになるんだ」
「そういうことね。弘徽殿へ入るの」
「ふうん、今の右大臣さまというのは、ずいぶん勢力のある方なんだね。じゃああなたは皇子さまさえ生めば、皇后間違いなしだ。ぼくの姉様も、入内したんだけど、梨壷でさ。弘徽殿の女御さまとはとても張り合えないって、実家へ帰って来るたび愚痴っていたよ
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