going to the moon/チアーヌ
 
心に手を合わせました。
「このお子は、寂しいとな」
「まだお小さいのに、迷っているとは哀れ」
「さあ、お手をこちらへ」
 九体の像は口々に、男の子に向かって語りかけます。
 男の子は泣くのをやめ、しばらく阿弥陀様方を眺めていましたが、烏天狗が横から、
「良かったじゃないか。阿弥陀様に連れてってもらえよ、浄土にさ」
 などとけしかけるので、とうとう手を伸ばしました。
 すると、天からするすると、九本の紐が降りて来て、阿弥陀如来像は満足げに、その紐を束にし、男の子に握らせました。
 姫君はその様子を眺めながら、そっと話しかけました。
「どう、もう寂しくない?」
「うん.....ど
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