going to the moon/チアーヌ
。
「はあ、まったく、こんなに急いで調べて来たっていうのに、ねぎらいの言葉もなしか」
烏天狗はブツブツ言いながら降りて来ました。
「それで、どう?」
「うん。仲間にいろいろと聞いてみたが、この子の母親はもうとっくに浄土へ行っているらしいよ」
「っていうことは、この子は、母君に会えないの?」
「そうだねえ。おそらく無理だろうね。浄土へ行っちまったら、この世のことは遠い昔さ。会えるかもしれないけど、もうお互いにわかりゃしないよ」
「ああ、お母さまと、もうお会いできないなんて」
話をきいているうちにたまらなくなったのか、とうとう男の子は泣き始めました。しかし姫君にも、どうしてやること
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