going to the moon/チアーヌ
れたら、どんなに楽しいだろう」
と言い、にっこりと笑いました。
「わたし、主上がお年上じゃなくて、あなたくらいの年の男の子だったらどんなにいいかと思うわ。そうしたら、きっと入内しても楽しいでしょうね。一緒に絵を見たり、お話したり.....」
姫君がそう言うと、男の子は少しの間姫君を見つめ、不意に姫君の手を取りました。
「そうですね。そうしたら、どんなに楽しかったでしょう」
「うふふ」
姫君も笑い、少しの間、二人は寄り添いました。
すると、急に月明かりが曇りました。見ると、烏天狗が大きな翼を広げ、月の光を遮っているのでした。
「ねえ、暗いわよ」
姫君は文句を言いました。
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