going to the moon/チアーヌ
 
時代からの愛人が大勢いらっしゃるのよ。でもご身分の軽い方が多いから、わたしのようなものも召したいのだと思うわ。だから別に、わたしの入内を楽しみになさっているわけではないのよ。それにわたしだって」
 姫君は少し笑いながら、
「別に楽しみにしてるわけじゃないわ。本当はね、寺にでも入って、尼になりたいの。そうしたら、毎日物怪たちと遊んだりできるでしょう。あなたみたいな」
「そんなことを言ってはだめですよ。今上帝の第一の妃に立とうという方が」
 男の子はまるで分別のある大人のように重々しく言い、でもすぐに口調が崩れ、
「.....でも本当はぼくも、そのほうがいいな。あなたみたいな尼君がいてくれた
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