going to the moon/チアーヌ
 
は物怪の力を借りなければ外には出られないし、入内してしまったら、あそこには物怪が入り込むことはほとんどできないから、もうこんな機会も無くなるのよ。放っておいて欲しいわ。それよりも」
 姫君は急に笑顔になり、言いました。
「そうそう。いいところであなたに会ったわ。あのね、この子の母君を探してもらえないかしら」
「へ?」
 烏天狗は、ちょっと戸惑っているような様子でした。
「ちょっかいを出しただけのつもりだったのに、なにやら、面倒なことになっちまったなぁ......」
「わたしにできることだったら、なんでもお礼するわ。ねえ、お願い」
「ま、今夜はいい月夜だしな。変わったお姫様の頼みを聞い
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