going to the moon/チアーヌ
 
聞いてやるくらいいいか。よしわかった、仲間にいろいろと聞いてみるよ。ところで姫君と坊やは、これからどこへ行くつもりだ?お前たちの居場所がわからないと、せっかく母君を捜し出してもどこへ伝えにいったらいいかわからない」
「そうねえ。じゃ、法成寺へ行っているわ」
「そうか。あそこは広いぞ。それなら、阿弥陀如来のところにいてくれ」
 烏天狗はそう言うと、背中にある大きな黒い羽根を広げ、月夜の空へ向かって飛び立って行ってしまいました。
 
 姫君と男の子は、法成寺へと到着しました。
 中に入ると、そこはまるで夢の世界でした。生まれてからこれまで、姫君は数えるほどしか外に出たことがありません。

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