going to the moon/チアーヌ
りだ」
姫君は烏天狗を一瞥し、
「そうよ、わたしの体はまだちゃんとあるわ。あんたには関係ないわ」
と、きつい口調で言い返しました。
烏天狗は少々驚いた様子で、
「ありゃりゃ。きれいな顔をして、こりゃまたずいぶん気の強い」
と、位負けした様子で言いました。
「こ、この方は、右大臣家の四の君で、来月は入内なさるんだぞ」
男の子も少々怯えながらも、烏天狗に言いました。
「ほう、そうなのか。しかし、そんな深窓の姫君が、またどうしてこんなところをうろうろしているんだ」
烏天狗の疑問は最もでありました。
「別に、理由なんかないわ。わたしだってたまには外に出たいのよ。わたしは物
[次のページ]
戻る 編 削 Point(1)