going to the moon/チアーヌ
よ」
「そうなのよねえ、物怪って、みんなあまり自分のこと覚えていないのよ。生きていたときのこと、ちょっとずつ忘れちゃうらしいのよね。困っちゃう。お母様、見つかるといいけど」
お姫様が溜め息をつきました。
「そういえばさっき、協力してくれるって、言いましたよね。何か、方法があるんですか?ぼくのお母様が見つかるような」
「さあ、よくわからないわ。協力するつもりだけど、あなた何も覚えていないんだもん」
「いいかげんな人だなあ」
男の子は呆れたように言いましたけれど、怒っているような様子はありませんでした。
「ごめんね。わたし、ちょっと外に出たかっただけかもしれないわ」
「いいですよ、
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