襤褸を着た男/はるやま
 
ら飯をもらい、あとは水瓶だけには用心して外を歩いた。日の暮れる頃には小屋に戻り眠った。
佐吉は情緒の激しい男で、惚けたような日もあれば何事かに気を張って始終落ち着かない日もあった。
ただどの日も、佐吉は襤褸を着ていた。色とりどりのきれで作った襤褸だ。しかし私と出会った頃よりは、少しばかりきれの量が増えていた。

ある日私は、私を腹に抱え寝ころんでいた佐吉に聞いた。
「その襤褸は色んな布を使っているね、一体どこで見つけてくるんだい?」
佐吉は目を細め、耳をかきながら言った。
「なに特別なことではないよ、向こうから勝手に集まってくるんだ」

『向こう』とはどこのことなのだろう。私を放
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