創書日和「証」 ミルクティーの似合う女(ひと)/逢坂桜
。
あの時のことがなかったら、
この人にめぐり合えなかったと思うの。
もちろん結婚もありえなくて。
仕方なかったのよ、きっと。
ほら、あたし、
経験しなきゃわからないタチだから」
彼女は、兄に恋をして、数多いる相手の一人になり、
それでも、懸命に心をつなごうとした。
ただ、相手が悪かった。
あの男が女に本気になることは、ない。
「もう大丈夫。心配かけたけど、あたし、もう大丈夫だから」
「うん・・・おめでとう、よかったね」
「ありがとう」
兄の理想は「ミルクティーの似合う女(ひと)」だという。
聞いたとき、思わず兄をひっぱたいてしまった。
[次のページ]
戻る 編 削 Point(4)