創書日和「証」 ミルクティーの似合う女(ひと)/逢坂桜
。
映画じゃあるまいし・・・・ろくな男じゃない。
それから喫茶店を出て、軽く食事して、別れた。
ただ。
兄は兄なりに、彼女に対して気を使っていた。
彼女が初恋に舞い上がっていたから、
彼女が恋に真剣だったから、
曖昧に向き合うことなく、逃げたのだ。
そして。
ミルクティーと優しい旦那さんが、
兄との、恋の証になったんだ。
どうか彼女が幸せになりますように。
まるでミルクティー。
ひとつひとつは違うけど、
紅茶の苦味がミルクに包まれて甘くなる。
いつまでも二人寄り添って、幸せでいられますように。
夜空の星ひとつに、願った。
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