創書日和「証」  ミルクティーの似合う女(ひと)/逢坂桜
 
ったな」
「ごめん。ここおごるから」
あら? やっぱり、かな?
「それで? 話ってなに?」
「あ・・・うん・・・」

運ばれてきたミルクティーを、所在なげにかきまわす。
ミルクの香りが、紅茶をあまく包む。

「結婚が決まったの。式は今年の秋ごろの予定」
「おめでと。それで最近、つきあいが悪かったんだ」
「隠すつもりはなかったんだけど、
 どうなるかわからない頃だったし・・・
 今度、改めて紹介させてね」

言いにくそうに、視線が落ち着かない。
こんな彼女を見るのは、あの時以来だ。

彼女が私の兄と交際していたのは、もう何年も前になる。
兄のいままでの例に漏れず
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