柔らかい命を踏んで楽しんでいると/真島正人
を連れた少年が上がってくる
堤防の上では
筋肉質の老人がジョギングをしている
僕は絵の中に連れて行かれたみたいだ
昔奈良県立美術館で見た
下手糞な
美大生たちの展覧会の絵
※
柔らかい命を
踏んで楽しんでいると
どんな美しい音律でも
調節できそうだ
できそこないだと思っていた僕の唇が
うわずって震え
唾を飛ばす
でも紡ぎだされるのは、美しい歌、
美しい旋律
歌の中に旋律があり、
旋律の中に歌がある
数年前用事があって東京のホテルに泊まったとき
僕は夜に一人で
ウィスキーをたくさん飲んでいた
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