蛇の夢/吉岡ペペロ
ことも積極的に教えてくれた
カタヤマは登山をイメージしろ、と言った
山頂はもうすでに存在している、あとは我々が登ってゆくだけだ、
登山はスポーツじゃないんですか、ツジさんがおどけて聞いた
ネクタイをはずしてスラックスを脱いだ
夜風が窓から匂っていた
ユキオはそのまま横になってテレビをつけた
桜前線の入った列島地図が映っていた
前線がいく匹もの蛇のように見えた
世の中、蛇が多いいのお、
ユキオはあくびをしながらそうひとりごちてテレビを消した
そしてワイシャツとパンツと靴下のまま腕時計もはめたまま眠ってしまった
ユキオだけが場違いなかっこうをして礼拝
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