蛇の夢/吉岡ペペロ
 
礼拝の群衆のなかにいた
すぐ横を巨大な蛇が這っていった
ユキオの身長よりふとい蛇だった
背後から靴音が猛スピードでこちらに近づいてきた
振り返るとさっき通り過ぎたはずの巨大な蛇がユキオめがけて頭を突きだしたり引っ込めたりしていた

おまえさんかね、わたしを呼んだのは、

ほかの群衆には見えていないようだった

ぼくは蛇なんで、蛇つかいにつかわれるほうなんで、

ユキオは巨大な蛇にじぶんが呼んだのではない、と伝えた
怖くなって視線を戻すとあたり一面がちいさな蛇で洪水のようになっていた
あっというまの出来事だった
右に、左に、上に、下に、まっすぐ、斜め、こちらに向かって、遠ざかって、ちいさな蛇たちが大集団で集合離散をくり返していた
それはユキオが意識をずらすたびに沸き起こるようだった





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