開封する/はるやま
拒絶した。
僕はそれで、この箱は(今でこそ天涯孤独の僕の身だが、去年まで生存していた僕の父に)似ているなあと思った。
「父さんも牛乳が飲めなかったんだよ」
「大人なのにね」
僕は父が死んでから、毎日の時間を持て余していた。
父は、去年のクリスマスに張り切ってサンタを演じたあまりに、誤って暖炉で薫製になって死んだ。
一つの出口も無いこの家に来客があることは無かったし、本棚にある本は全て読んでしまっていた。
「やあ、箱。だから君は久しぶりに僕にとっての他人さ」
箱は黙って僕の話を聞いている。
「箱、君はどこから来たんだろうね?誰が用意してくれたのだろうね?」
半日経った。(とい
[次のページ]
戻る 編 削 Point(3)