雨の日、わたしは窓のそばで/ホロウ・シカエルボク
 
もう夜に近い夕方のことだった
それは10歳くらいの男の子で、右手に淡いピンクのリードを巻き付けていた
彼はわたしの家のあたりをうろうろしていて、窓のそばにいるわたしの姿を見つけて近寄ってきたのだ
「どうしたの?」わたしは窓を開けて尋ねた
「犬が逃げて行っちゃったんだ、ちゃんとひもは掛けておいたんだけどーおかしいなぁ」
そう言いながら彼は右手のリードを軽く振って見せた
「どんな犬?」わたしはまた尋ねた
彼は自分の腕で大きさを示しながらー
「子供のコリー、ちっこいんだけどさ、鳴くとすげえうるさいの、ね、このへん通らなかったかなぁ?」
今日はずっとここにいたけどそうい
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