雨の日、わたしは窓のそばで/ホロウ・シカエルボク
午後の早い時刻に身なりのいよい二人の初老の婦人が
「なにものにも愛をもって接することを諦めはしません」といった感じの笑みをたたえて玄関のチャイムを鳴らした
わたしは椅子を窓のそばまで寄せて窓を開け
「こちらにどうぞ」と言って椅子に腰を下ろした
二人の婦人は同じ表情のまま窓のそばにやってきた
「こんにちは」と彼女たちは言った
わたしも同じ言葉を返した
「こんなところですみません」とわたしは詫びた
「脚を痛めているものですから」
二人の婦人はどこか舞台役者のような調子でわたしのことを気遣ってくれた
わたしはいくつかの言葉にありがとうとだけ答えた
もちろん
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