雨の日、わたしは窓のそばで/ホロウ・シカエルボク
 

わたしは壁の時計を見る
「午後早く」までにはまだずいぶんと時間がある
郵便配達のひとはまた少しにっこりとする
「なにかお出かけの予定などおありなのですか」
と彼はわたしに尋ねる
そうですね、とわたしは曖昧に答える、そして手を彼の脇まで差し出して雨の感触を確かめ、引っ込めて微笑む
「早くやんでくれるといいのだけど」
彼はにっこりと笑って、そうですねと言い、ではこれでと小さなお辞儀をして去ってゆく
わたしは窓を閉めて彼の背中を少しだけ見送る、背中は確かにしっとりと濡れている
わたしはもと居た席に腰を下ろす
やはりここからは雨の姿はよく見えない



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