船/鈴木陽
のを消してしまわぬよう、ある秩序に関連付けられる形で、順序的に、文字の後ろに並んでいた。それは文字のならびに空間を作り出す作用を働かせ、そして文字の隙間には、さまようような、さまざまな写真が描かれているのだった。幾何学模様、あるいは船の見取り図である。もしくは鳥、そして魚、乗員の生活のスケッチ、それは図鑑の役目さえ果たしている。赤鉛筆でそれらに修正が加えられ、さらに青のインクが訂正を加えていく、そこに黒の万年筆で、行間に傍線を引くことから読みをはじめることにしよう。張り巡らされたあらゆる線分はこれらのおびただしい日誌を繋いでいく作業に参加している。この群体に乗客は一本づつ、線を加えなければならない
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