船/鈴木陽
 
。それら幽霊はおそらくこの船の自立性を正当化するために必要な論理に組み合わされる具体として、航海自体の複雑な構成の中に含まれた一続きの仕事の一部として、組み込まれているだろう。我々はその演劇のト書きに傍線を引きつけ、親しい幽霊たちが船の一室で催したささやかな気晴らしの出来について、声を潜めて、話しているかもしれない。

巨大な十字の上に止まっている鳥の嘴から尾に続く一本の竜骨は、十字の垂直なマストによって連結されているから、豊かな羽毛に包まれた翼がひらかれたとき、その十字は実のところ二連十字であると言える。形が連結されていることが最も強い関係だ。その羽毛は垂直に船にしな垂れかかり、さらに我々の
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