保護/真島正人
 

耳を澄ませると

ピアノが鳴っている

長く骨ばったソナタ

僕はそんなソナタを

愛した覚えは無いが

それにしても
なんて

控えめで
怯えたような音なのだろう

こんな
怯えた音が

やがて大きな声になる

そしてそれが

世の中を

揺るがしてしまう



回路図を
いくつも広げ

渚が
凪いでいることに安堵し

羽を広げ
歌をうたった

僕は
数回も
ひな鳥を繰り返し

そのたびごとに
親鳥を
犯した



情けないこと、
薄ら寒いことが

施設のような強制力を纏って

僕の
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