保護/真島正人
耳を澄ませると
ピアノが鳴っている
長く骨ばったソナタ
僕はそんなソナタを
愛した覚えは無いが
それにしても
なんて
控えめで
怯えたような音なのだろう
こんな
怯えた音が
やがて大きな声になる
そしてそれが
世の中を
揺るがしてしまう
5
回路図を
いくつも広げ
渚が
凪いでいることに安堵し
羽を広げ
歌をうたった
僕は
数回も
ひな鳥を繰り返し
そのたびごとに
親鳥を
犯した
6
情けないこと、
薄ら寒いことが
施設のような強制力を纏って
僕の
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