アルフォンソ・サノヴァビッチ4世についての覚え書き/salco
 
空の推移というより
意識の存在でしかないのだ。肉体が滅ぶ時、その内容物もまた残りはしな
い。一回生の存在、その尊さに比べたら有形の業績などぼろ切れでしかな
い。聖骸布を見よ、ありゃどう見積もってもただのぼろ切れだ。

では魂とは何か。キリスト教者である余も常々考えて来た。不滅のそれは
恐らく核のようなものだろう。原形質なのであって、我々が生に於いて獲
得した質量の総計ではないのだ。神の手に委ねられるべきそこには何らの
意志も意識も働かない。何故なら神に対して意を発動するのは対峙であり
不遜だ。自然科学的に謂うならば、蛍の尻で明滅する光の機能が雌への信
号であれ、その光自体は意図
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