アルフォンソ・サノヴァビッチ4世についての覚え書き/salco
ファンタジーは恥なのではなく、端でしかない。人生の不
如意、過酷さに於いて主要テーマとはなり得ないわけである。舞台俳優よ
りも所得の多いポルノ俳優が、B級映画の主演俳優の足下にも及ばない理
由はそこに在る。再生の需要が薄いので余禄が見込めない。おのれの局部
を8時間こするよりもまず、人は食って行くのと睡眠とでちと忙しいのだ
。
どのみち人生で何を得たところで、死ぬ時はそれを置いて行かねばならな
い我々なのだ。そして余人にはそれが何なのか見えはしない。墓石を見よ
、何一つ残せはしないというのが人生の定義だろう。家族も子孫も余人に
他ならない。畢竟「私の人生」とは、終ってみれば時空の
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